[リディラバとは]
この日のテーマは「社会の無関心」を打破するためにはどうするか、ということ。
地域の課題や社会問題を関心の薄い人たちに伝えるというのは、とても難しい。そんな困難に取り組んでいる団体が文京区内にあります。それが「リディラバ」で、今日のゲストは代表の安部敏樹さん。
リディラバ(ridilover)という名称は、ridiculous things lover(バカバカしいことが好きな人)を略した造語に由来します。
ひとりでもたくさんの人が、社会問題というマジメなテーマに興味を持って、気軽に、アクションできる世の中になるように、という願いが込められています。
※リディラバについては
こちら
登壇された安部さんはとてもエネルギッシュ。
まず、ご自身の生い立ちから現在までをひと息に語りおこします。
かつてマグロ漁師であったこと、今も東大大学院(専門は複雑系)の博士課程で研究を進めていること、そして今年は学部生時代にリディラバを創立してから10周年であること。
そこからリディラバの具体的な活動について、さらに一歩踏み込んでくれました。
社会問題を考えるカギとなるのは、問題そのものを見えるものにすること。見えないものには誰も関心の持ちようがないからです。
そこでリディラバが最初に取り組んだのは、社会問題の現場に人々を連れていき、実際に見て、体験してもらうスタディツアーの企画でした。
これまで300種類のツアーに1万人以上の人たちが参加。最近は企業の研修から修学旅行まで、幅広い層に利用されているそうです。
続いて、当日会場に来ていた坂爪真吾さんが、読者代表として安部さんに指名されて客席から登壇されました。坂爪さんは新しい「性の公共」をつくる活動をする団体、ホワイトハンズの代表理事をしています。
そこからは安部さんと坂爪さんとの対談形式で、現代日本社会の問題点について具体的に議論が進んでいきました。
安部さんによれば、ほとんどの社会問題に通底するポイントは「家庭の機能低下」になるそうです。
家庭はこれまでメンタルヘルスも子育ても担ってきた資本効率の良いシステムでしたが、それが壊れかけている、とのこと。今こそ、担い手となるコミュニティ機能が必要ではないか、というのです。
交流タイムでは短い時間ながらも活発な意見交換がおこなわれました。「社会問題が解決し、システムが改変された先には何がある?」という問題提起に対して安部さんは「社会問題こそは人類の特性であり、消え去ることはない」と答えました。ただ、「リディラバの活動によって、社会問題によって泣き寝入りしていた人たちが立ち上がるようになること、そして立ち上がるようになるまでの時間を短縮したいのだ」と話されました。
参加者の方々の数多くは、 社会問題の解決そのものに先立つ無関心の打破、そして問題の構造化の重要性を実感することができたようです。
みなさんには、アンケートにコメントをいただきました。いくつかご紹介します。
○アンケートのコメント
・社会問題に無関心の人たちに、関心を持つことが解決に結びつくことを伝えたい。
・問題の構造を可視化し、それを地図にして欠陥を見つけて解決していくことが重要。
・あらゆる課題が他の課題の入口なんですね。
・関心のあることと無関心のことを結びつける活動が重要であると思いました。
・社会問題の現場に旅行でつれていくアイデアに感心しました。
・すべての社会問題が関心の切り口になると思いました。
今回のフミコムcafeをきっかけに、とくに若い世代の方が社会問題を自分事として捉え、関心を持つことを期待しつつ、イベントは終了となりました。
フミコムではこれからも地域の課題や社会問題を知るはじめの一歩として、フミコムcafeを開催していきます。
引き続き、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。