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活動報告・発行広報物

【開催報告】[第100回フミコムcafe]未来へフミコム!子ども支援とまちづくり座談会

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
  • 子ども
日時:2024年8月23日 (金) 19:00~21:00
会場:文京区民センター3階3A会議室(文京区本郷4-15-14)
コーディネーター:萩原なつ子氏(立教大学名誉教授)
ゲストスピーカー:大岩良至氏(関水町会会長・コミュニティ食堂ピノッキオ代表)
         金木はるか氏(特定非営利活動法人Woods代表理事)
         八木晶子氏(さきちゃんち運営委員会代表)
参加者:28名

 2024年8月のフミコムcafeは、なんと2016年のフミコム開館以来、第100回を迎えることができました!
地域連携ステーションの開所からは9年目を迎え、その間に制度化も進みながら広がってきた文京区の子ども支援の変遷などをゲストの方の活動から紐解きました。子どもの支援を地域づくりやまちづくりの視点を大切に行ってきている方をゲストにお招きし、市民活動としての展開や、中間支援組織である地域連携ステーション フミコムの果たす役割についても市民活動やNPOの活動に詳しいコーディネーターの方に解説していただきました。
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ゲストは左から
●大岩さん
町会長になる前から子ども食堂を3町会合同で開催することに関わっていらっしゃいます。今回は地域での子ども支援を地縁組織という視点からお話いただきました。

https://www.facebook.com/sekisuichokai/

●金木さん
育成室で働いたご経験もあり、子どもにとっての家と学校以外の、年齢・ジェンダー・障害・国籍など区別のない空間を創り、気軽に誰もが訪れることのできる場所をNPO法人を立ち上げて運営されています。今回はNPO法人として居場所を運営されているという視点からお話しいただきました。

https://woods-c.com/

●八木さん
あそぶ・まなぶ・つくる・たべる・くつろぐ・はたらく、さまざまなワークをすることのできる
多世代型の居場所を運営されている運営委員会の代表です。常設の拠点ではさまざまな団体と連携しながら多様なプログラムが開催されています。子どもにとってほっとする場の運営をさまざまな団体と連携しながら運営している視点からお話しいただきました。

https://sakichanchi.org/

短い時間でしたが、いつものフミコムcafeと同じように近くの方と感想をシェアしていただく時間もあり、あっという間の2時間となりました。

イベント前半、まずはゲストの3名の方からお話を聞きました。
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まずは関水町会長の大岩氏より、これまでの地域活動とその経緯についてご紹介いただきました。
大岩氏は神田で生まれ育ち、ボーイスカウト活動を通して10歳から20歳まで子どもとして、以降30年以上リーダーとして青少年の育成に関わってきました。

文京区に移住後、当初は町会活動への参加に消極的でしたが、マンション内で住民同士の交流がほとんどない現状に危機感を持ち、理事会に提案して年1回のバーベキュー交流会を企画。これをきっかけに町会長から声がかかり、地域行事やお祭りに関わるようになりました。

さらに、地元の地蔵通り商店街がシャッター通り化の危機にあった際、若手経営者を中心に「商店主2代目の会」を結成し、視察を経て毎月第4日曜に「青空マルシェ」を開催。現在では20〜30チーム以上が参加する人気イベントへと成長しました。

こういった地域交流の中で、1人で食事をする子どもたちの存在を知り、約6年前に月2回ほどの「子ども食堂」を近隣の3町会で開始。高齢者施設との協力により「コミュニティ食堂ピノッキオ」として、子どもと高齢者が一緒に食事やゲームを楽しむ場へと発展しました。
しかしコロナ禍で施設利用が困難となり、ガレージをおかりしたテイクアウト方式での提供に切り替え、活動を継続。現在は子ども限定ではなく、誰でも利用できる地域食堂として80〜100食を提供しています。

活動を通して、子ども、保護者、中高生、大人が協力し合う地域のチームワークが育まれ、駅前のごみ拾いなど自主的な活動も生まれています。今後は資金面や後継者育成を課題とし、小さなコミュニティの力を地域全体の活性化につなげていきたいとの抱負が語られました。


 続いて、金木さんからは、もうお一人の代表の方と芸術大学で出会い、それぞれ福祉とは異なる分野でお仕事をされていたものの、東日本大震災をきっかけに「子どもに関わる支援をしたい」という思いを抱き、NPO法人として活動を始めるまでの経緯についてお話しいただきました。

NPO法人では、学校に行けない、または行きづらい子どもたちのためのフリースクール活動に深く関わられています。そこでは、子どもたちが自分のペースで安心して学び、交流できる居場所をつくることを目指しており、単に学習支援にとどまらず、学校に行けないことで失われがちな体験の機会を地域とのつながりによって補い、子ども自身が役割を持てるような仕組みづくりにも力を入れているとのことです。

コロナ禍以降、“不登校”とされる子どもが過去最多を更新しており、その中でも、どの支援にもつながれない子どもが増えているといいます。保護者の就労状況によっては、日中ひとりで過ごす子どもも少なくなく、場合によっては保護者が就労を断念せざるを得ないケースもあるなど、現状に強い危機感を抱かれているとのことでした。

活動拠点である「白山倉庫」は、古い倉庫を改装したシェアスペースで、建築士や飲食店の事務所としてなど様々な利用者が活用しています。入居者の皆さんが子どもたちの利用を理解し、温かく見守る環境の中で運営が続けられているそうです。直接的な会話が少なくとも、引きこもりがちな子どもたちが“家の外で、受け入れてくれる大人と同じ空間にいる”ことができることは、このシェアスペースならではの利点だと語られました。

一方で、運営上の課題として、子どもの居場所に対する社会的理解がまだ十分ではなく、情報発信の必要性を強く感じているとのことです。また、学校や地域との連携も進みつつありますが、子どもが学校に復帰しても課題がなくなるわけではなく、継続的な支援や地域連携の必要性を実感していると述べられました。

最後に、「子ども支援の地域社会のハブとして、今後もつながりを広げていきたい」との抱負を語られました。


3人目の八木さんからは、地域住民の方々が主体となって運営する多世代の居場所「さきちゃんち」の活動を中心に、地域住民による子育て支援の取り組みについてお話しいただきました。

八木さんは、広島・兵庫を経て2011年に文京区へ転居された際、これまで活発だった地域活動に比べ、東京都心では市民活動の場がなかなか見つけられず戸惑いを感じたといいます。そんな中で、PTA活動や文京区の「新たな公共の担い手プロジェクト」などの対話の場に参加し、地域課題について語り合う仲間と出会ったことが活動の原点になったそうです。活動を構想する中で、公共施設の会議室ではなく、温かみのある自分たちの拠点が必要だと感じたことが、後の「さきちゃんち」誕生のきっかけになりました。

地域の活動を続けるなかで、夜間に一人で過ごす子どもや、家庭内に安心できる居場所を持てない子どもと出会い、子どもの「居場所」の必要性を強く実感されたとのことです。社会福祉協議会の支援を得ながら居場所のない子どもに年末年始に一時的な居場所を確保するなどの経験を経て、2015年に「さきちゃんち運営委員会」を発足。地域の子どもたちがまちの人に見守られながら、作る・食べる・遊ぶ・学ぶ場として、初代「さきちゃんち」をオープンされました。こちらの場は、活動に賛同したオーナーさんの好意で無償でお貸しいただいていたそうです。

「さきちゃんち」は、友達の家に行くような感覚で訪れられる“まちのおうち”をコンセプトに、子どもが主体的に「やりたいこと」を発言し、大人はサポートに徹するという運営方針を重視しています。継続的に場を開くことで、子どもの本音を丁寧に聞き取ることができるようになり、地域の大人とのつながりも自然と広がっていったといいます。活動の中で、子どもの声を聴くこと、心の声を受け止めること、ふと漏らしたつぶやきを逃さないことの大切さを実感されたそうです。

現在は、活動拠点を移し「ワークスペースさきちゃんち」として、多世代が集う居場所づくりに取り組まれています。曜日ごとに異なるサロンを開催し、誰もが安心して立ち寄れる場として運営。対話を通じて社会的孤立を予防し、地域のつながりを育むことを目的としています。また、子どもや子育て世帯を支えるためには、複数の団体や機関が顔を合わせて対話を重ね、信頼関係を築くことが欠かせないと強調されました。

今後の課題としては、開館時間や関わりの幅を広げること、情報発信の強化、そして地域ニーズを共有できる対話の場を継続していくことが挙げられています。地域福祉コーディネーターや社会福祉協議会の支援を得ながら、多様な世代がつながり合い、共に支え合う地域づくりを目指していきたいとのことでした。


以上、3名からの貴重なご報告がありました。
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3名の登壇者のお話のあと、コーディネーターの萩原さんが各登壇者に質問を行い、まとめをしていただきました。

まず、文京区における子ども支援の現状についての質問では、登壇者の皆さんは共通して、支援が必要な子どもや家庭が地域の中で見えにくいことを指摘されました。一般的には教育水準が高く、比較的裕福な地域というイメージがあるものの、実際には外からは見えにくい困難や課題を抱えた子どもや家庭が存在しており、特に教育への期待が高いことから親子間のすれ違いが生じる場合もあるとのことでした。

続いて、子どもの権利を守ることの重要性について、子ども自身が自ら権利を学び、声を上げることを支援者や大人がサポートしていく必要性が議論されました。

萩原さんは、3名の活動に共通するポイントとして「多世代交流の重要性」を挙げていました。個別の質問として、大岩さんには町会同士の連携のきっかけが尋ねられ、全国の町会で共通する課題として後継者不足があることが共有されました。そんな中で規模の大きい子ども向けのイベントの開催は1町会では難しいということで、他の町会にも声をかけたことが子ども食堂での連携につながるきっかけが生まれたとのお話がありました。

八木さんには、子どもが自主性を持って参加できる場づくりについての質問がありました。さきちゃんちでは、オープン当初に参加していた子どもが成長して先輩として関わり、後輩の子どもたちと遊ぶなどのサポートをしてくれるとのことでした。また、大岩さんも同様に、子どもから運営の手伝いがある場合は尊重していると話されました。

金木さんには、支援の際に大人が過剰に介入せず、子ども自身のペースで関われる支援の重要性についての質問がありました。大学生ボランティアの受け入れの中でも、「助けたい気持ちは一旦置き、子どもが話すのを待つこと」が大切だと伝えており、子どもの自立を促す支援が重要だと述べられました。

さらに、中間支援組織に求めることとして、登壇者3名からは以下の点が挙げられました。

・地域の主体をつなげる情報発信
活動者だけでは集めきれない情報を提供し、拠点や活動者同士がつながるための情報発信。

・支援者への支援
専門的な事例への相談窓口、活動の周辺事務負担の軽減、次世代育成、人的・物的資源の提供、異なる立場の団体や個人が理解を深められるような調整機能。

・対話の場の創出
市民活動ネットワークづくりや、対話の場を継続的に提供すること。


最後に、萩原さんから、子どもを中心に据えた支援を実践している登壇者への敬意を表し、座談会は終了となりました。

我々地域連携ステーションも、皆様から頂きました宿題を基に、今後も文京区の市民活動・地域活動の拠点となれるよう取り組んでいきます!
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そして、100回を迎えた記念として、会場にはこれまでのフミコムcafeのポスターをすべて掲示し、また100回の歩みとして社協や子ども支援の施策の年表を作成して掲示しました!
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萩原さん、大岩さん、金木さん、八木さん、また今回ご参加してくださったみなさま、これまでご参加いただいた皆様、まことにありがとうございました。

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▽文京区社会福祉協議会 地域連携ステーションの情報発信
https://www.d-fumi.com/news_important/news-20211222183302

▽ホームページ
https://fumicom.tokyo/
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