【ファンドレイジングとは何か】
ファンドレイジングというと「寄付集め」と思う方も少なくないと思いますが、では何のために寄付集めをするのかと考えると、まずは「自分の活動を知ってもらうこと」。
また、お金に限らず、ヒト、モノ、情報なども含めて集まった資源をどう成果に結びつける課までの一連がファンドレイジングであると髙橋さんは話します。
さて、「1人からの100万円」と「100人からの1万円」
あなたならどちらのファンドレイジングを望むでしょうか?
ファンドレイジングは最終的にはどちらも目指していくことにはなりますが、
100人の中の1人が将来の高額寄付者となる可能性もありますし、すそ野が広ければ広いほど可能性は広がっていきます。
では、団体の応援者=ファンをどうやって集めていくか。
ファンドレイジングはいわばファンクラブ運営と共通することもあると高橋さん。
寄付もファン活動の一環のコミュニケーションツールととらえ、寄付している側も寄付することでハッピーになることが大事であるとのこと。
日本には諸外国に比べて寄付文化がないと考えられがちですが、東日本大震災をはじめ自然災害時は多額の寄付が集まりますし、昨今ではクラウドファンディングなども盛んにおこなわれるようになってきており、必ずしも寄付文化が日本にはないということではないでしょう。
一方で、国の調査では社会の役に立ちたいと思っている人は67%ほどいるのに、実際に寄付したことのある人は、43%ほど。この差をどう埋めていけるのか、寄付を通じて私たちが達成したいものは何なのかを考える必要がありそうです。
続いて、実際に寄付をするまでの人の心理と行動についても見て行きました。
寄付に限ったことではありませんが、人が何か行動を起こすまでには、知る→興味を持つ→確認する→行動するという順序があります。
それを寄付に当てはめ、それぞれの段階に応じて、寄付を集める側としてどんな情報を発信できたらいいのか、考える必要があります。
まずは団体の活動や背景にある課題を知ってもらうこと、そこからより深く知ってファンになってもらうこと、ステージに応じて誰に対してどんなことを伝えていくか。
これらがあまりにごちゃ混ぜになってしまうとかえって誰にも伝わらなくなってしまいます。
また、情報を発信するだけでなく、応援したいと思った人が活動に参画できる場を提供できることも大切と高橋さん。
応援したいと近づいてきたときにつながれるようにする、巻き込み力というか頼れる力が求められてくると言えそうです。
【基本ステップ】
続いてファンドレイジング7つのサイクルについて概観していきました。
見てわかる通り、サイクルの①~④は準備段階です。
何事もそうですが、事前の準備がいかに大切かがわかります。
ここで特にポイントなのは、潜在・既存寄付者の分析。
2割の寄付者が8割の寄付額を占めているとよく言われますが、コアな寄付者、単発の寄付者、寄付の実績などはないがイベント参加やメルマガ購読者などつながっている人など、自団体にはどれくらいの層にどれくらいの人がいるのかを分析しておくことが大切です。
また、理事やボランティアにどう参加してもらうか、参加、交流の機会や、声を聴く場などをどう設定していくかも大事なポイントとなります。
ポイントは担当者が一人で抱え込んでしまうのではなく、「一緒にやりましょう」「手伝ってください」のコミュニケーション。ではそのコミュニケーションを誰に対してどうとっていくのかが「コミュニケーション方法や内容の選択」となっていきます。
ひととおり事前準備が済んだら今度は「計画」。
ドナーピラミッドをどう描くか、先にも述べたようにすそ野を広げないとピラミッドの上の部分も育っていきません。5年後、10年後はどのようなドナーピラミッドが理想で、そのために今はどこに重点を置くのか、その重点ターゲットに向けて今年度はどんなスケジュールで何をしていくのかの計画を立てていきます。
そうしていよいよ実行です。
ついつい「寄付」がゴールになってしまいがちですが、実はスタート。
寄付したお金がどう活かされていくのか、その後のつながりが絶たれないようなコミュニケーションについても考えていく必要があります。
そして最後が「感謝・報告・評価」。
「感謝は7回伝える」この髙橋さんの言葉に驚いた受講生も多かったようですが、感謝の言葉は何回伝えても伝えすぎということはありません。それくらいコミュニケーションを意識することが大切です。
また、成果については短期間ですぐに成果が出ない活動も多いとは思いますが、少なくとも進捗についてはしっかり報告をしていくことが必要なのは言うまでもありません。
また振り返りについても、1度や2度ですべてうまくいくことはむしろまれなので、少しやってみてダメだったからと言って諦めてしまうのではなく、しっかり振り返りをして次に生かしていくという姿勢こそが求められます。
成功のポイントとしては、とにかくいきなり始めず準備をしっかりするということ。
また、ファンドレイジングをできるだけ日常に組み込んでいくということ。
これまで見てきたように、ファンドレイジングの土台となるのは情報発信。それは日常の活動があってこそ、車の両輪だったりもしますので、活動が忙しい時ほど寄付も集まりやすいと考えると良いと高橋さん。
また、寄付が集まらないと嘆いている団体は意外と寄付を集めていると明確に伝えてないことも多いとか。まずはしっかり寄付を集めているということを示すことと、始める前には、寄付を受け入れる実務(領収書やお礼の仕方、問い合わせ窓口の明確化)を整えておくことも大切です。
2時間半で全体像を概観しつつ、具体的にどこを検討したらいいのか実例も含めて押さえていった本講座。タイトルをみると「ひとりでも始められる!」ということで、実は決して「ひとりでできる!」ということではありません。
本講座を受けて、まずは団体内でのコミュニケーションをとりつつ、できるところから取り組んでいく団体さんが増えていくといいなと思っています。
なお、本講座終了後、別日程で希望者4名に対してファンドレイジングの個別相談を行いました。
スタートアップ期のステークホルダー分析の考え方、団体内でのコミュニケーションや情報発信のあり方、既存寄付者とのコミュニケーションのあり方や今後の重点ターゲットの絞り方、お金に限らず「ファンクラブ」としての団体のコミュニティをどう育てていくかー団体の歩んできた年数や何を大事にしているかで悩みごとはそれぞれでしたが、人に話すことでそもそも自分や自分が所属する団体が何を大事にしたかったのかを振り返るいい機会にもなりますし、強みや弱みは自分だけでは把握しきれないもの。それぞれの団体さんが髙橋さんからたくさんのフィードバックをもらっていましたが、それらを糧にして今後の取り組みを進めていただきたいと思いますし、私たちフミコムとしても継続してコミュニケーションをとっていきたいと思います。
フミコムでは今後ファンドレイジングの各論として、10月にクラウドファンディングに関する講座を、12月に助成金に関する講座を実施予定です。
講座のリリースはこちらのどっとフミコムのイベントページの他Peatixのフミコムのページ(https://fumicom.peatix.com)でもご確認いただけますので是非チェックしてみてください!