トイレは、誰でも一人で籠れる場所。性に関する情報は、読んでいるところを周りから見られるのはちょっと恥ずかしいですが、トイレであれば、誰の目も気にせずじっくりと読むことができる。まさに、性教育にぴったりの方法だと考えたそうです。
内容は小学生1・2年生でもわかる内容にして、具体的な性教育の前段階について記載しました。例えば、「自分がされて嫌なことは、人にもしてはいけないよ」とか「触られたくないときは『いやだ』と言っていいんだよ」など、イラストと簡単な言葉で伝えているようにしました。
●さらに広く伝えるために・・
トイレットペーパーに加えて、より多くの方々に気軽に知識や情報を提供する方法はないかと考え、高校生と一緒に制作したのが性教育をテーマとしたボードゲームでした。ゲームには、将来自分のこどもから質問されそうなことや、性ビジネスについての知識も盛り込まれていて、みんなで楽しみながら性の問題を考えることができるのが特徴です。また、ボードゲームより安価で、低年齢層でも楽しめるツールとして、カードゲームの開発にも着手されているそうです。
更に、これらの開発の資金集めの手段としてクラウドファンディングを活用しましたが、資金調達手段としてだけでなく、それ自体が多くの方々に若い世代への性教育に興味をもってもらう良い機会になっているそうです。
●今後の課題に向けて~知識だけでは行動は変わらない~
鶴田さんが今動き始めていることとして、望まない妊娠で中絶を繰り返す若い世代への支援活動があります。
家族や学校に居づらさを感じ飛び出した女性が、誰にも相談できず、金銭的な支援もなく孤立してしまい、仕方なく男性との生活を選択している場合が少なくないそうです。
この実態を知ったときに痛感したのは「知識だけでは行動は変わらない。支える仕組みをつくる必要がある。」ということ。
そのために鶴田さんは「トコトコ基金」を立ち上げました。金銭的な支援をきっかけに、次の行動に移せるよう生活全般の支援へとつなげていく仕組みです。
まずは、沖縄でスタートし、順次全国に広げていきたいと仰られていました。
●北欧留学での経験
鶴田さんは、北欧へ留学した経験があり、そこでの性教育に対する姿勢に大きな影響を受けたそうです。
北欧では性行為の楽しい部分とリスクの部分を一緒に勉強できる環境が揃っていて、タブーにするのではなく、判断する基準をきちんと教えているとのこと。そのため、図書館には性教育のコーナーが大きくとられていて、子どもを含めて誰でもそこに行って自由に勉強する環境が用意されているそうです。
このような思想や取り組みが、結果として安易な性行為の若年令化の抑制にも役立っているのだそうです。
●ちいさな子どもへの性の語り方
鶴田さんが、性の課題を抱えている子ども達と話したときに、その多くが自分自身のことを大切に思っていないことに気が付いたそうです。
だから、特に小さな子どもたちにまず伝えたいことは、「あなたは愛されている」ということ。自分のことを大切にしていいという自覚を持たせることが大事だと話されていました。
そこが理解されることでようやく、触られたくない時は「いやだ」と言っていいということが、スッと心に入るそうです。
●最後に、ソウレッジさんとして伝えたいこと
若年層に対する性教育は必要だけれど、まずはこどもの周りにいる大人が積極的に取り組んでいかないと、なかなか広がっていきません。
「性教育を日常に」という活動を、一緒に広げていっていただけるとありがたいですと締め括られました。
鶴田さんの、等身大の言葉で真摯に語りかけるような姿勢が終始印象的な時間でした。
※一般社団法人ソウレッジ ホームページ
https://sowledge.org/
※鶴田さんツイッター(“つるたま/5歳からの性教育”名義)
https://twitter.com/tsurutama_ALLY
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※「保護者が子どもに性を伝えるとき、どのようにすればよいか?」という質問について、いくつか資料が紹介されましたので、ここでも紹介します。
●パンツザウルス(YouTube画像・英語)
就学前のこども向けにパンツの中などが「プライベートパーツ」であることを愉快に教えています。
英語の動画ですが視覚的にとても分かりやすいです。
https://youtu.be/n5j8vQ71Mco
●とにかく明るい性教育 パンツの教室(ホームページ)
独自の講座の開催情報や代表理事のじまなみさんの著書の紹介などが紹介されています。
https://pantsu-kyoshitsu.com/
●雑誌Very <のじまなみさん、Sherryさん、鶴田さんの対談記事>
鶴田さんが、「パンツの教室」のじまなみさん、タレントShellyさんと「日本の性教育が遅れている理由」というテーマで対談されています。
(性教育のお役立ち書籍)
また鶴田さんは、できるだけ、小学生のときに性について話す習慣をつけたいですが、なかなか切り出しにくいものですね、そんなときは、本を渡したり、何気なく置いておくのは良い方法だと思いますよとお話くださり、いくつかの本を紹介いただきました。
●「あっそうなんだ 性と生」(浅井春夫ほか 著)
2部構成になっており、絵本編では1テーマ1話で、子どもと一緒に読みながら学べます。
また解説編は、保護者向けに。子どもへの伝え方、配慮すべきポイントがまとめられています。
https://www.eidell.co.jp/books/?p=4529
●おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方(フクチ マミ・村瀬 幸浩 著)
マンガで読む「保護者向け」のこんなときどうする?解説書です。
マンガなので気軽に子どもへの伝え方・話し方を理解できます。
インターネットで一部が公開されているので記載内容を知ることができます。
https://www.comic-essay.com/episode/285
●サッコ先生と!からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに?」(高橋幸子 著)
こちらは、産婦人科医がわかりやすく性を教える本です。思春期の入り口にいる年代向けに
書かれていますが、保護者が事前に読んで、「わからないことは聞いてね」といって渡すのもよいとのこと。
http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=1033
●CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識 (シオリーヌ著)
助産師・性教育ユーチューバーが、生理・性的同意・セクシュアリティなど性について幅広く語る、明るく正しく具体的な性の話です。保護者や改めて性を学びたい大人に向けた最新刊です。
https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781619378
次回のフミコムcafeは2/17(水)19:00~20:30開催
食を通じて人がつながる、人を支える ~せたがやこどもフードパントリーの実践に学ぶ~
ぜひご参加ください。
開催概要:
https://www.d-fumi.com/article/detail/1325