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活動報告・発行広報物

【開催報告】描いて、見て、比べて学ぶ グラフィックレコーディング入門編

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
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  • その他
日 時:2020年8月22日、29日(土)9:00~11:30
会 場:ZOOMオンライン開催
講 師:本園 大介さん(グラフィックコミュニケーター)
参加者:のべ33名(8/22 18名、8/29 15名)
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毎年好評のグラフィックレコーディング入門講座、今年度は新型コロナウィルスの感染拡大状況に鑑みてZOOMでのオンライン開催となりました。

まずはアイスブレイクとして、ミュート(消音)を解除して「こんにちは」の発声から。また、双方向性の講座を実施していくにあたり、チャット機能の活用は欠かせないので、最初にチャットを使ってみる練習から始めました。

最初のワークは、今の気持ちを「せん」で表現というもの。
ほとんど制約はなく、しいていうと描いた作品をあとで参加者同士でシェアすることを考えて、太めのペンで描いてもらえたらということくらい。
「線」でなく、あえて「せん」と描くことで、可能性は広がります。

描いたものと一緒に今の気持ちをシェアしたところ、
・似たような「せん」を描いている人がいて安心した
・いろいろな「せん」があって面白かった
・子育て中の方などいろいろな人が参加していて面白い
・不安がいっぱいだけれど楽しみたい
などの意見が聞かれました。

絵が苦手、下手という方もいますが、「下手」って何かを考えると
人と同じようにできない、恥ずかしいと思う根源なのかもしれませんが、
みんな違うこと、それ自体に価値があります。
「なるほど、そういう描き方、考え方もありますね」という考え方で、上手、下手ではなく、「違い」として捉えて、いいと思うものは取り入れていく、そうして引き出しを増やしていけるかがポイントになります。
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講座の本編の最初は、「グラフィックレコーディング」とはなにかを実際に講師の本園さんが直近でグラレコした作品をもとに、自己紹介も交えながら説明をしていきました。

ではさっそく、実践です。
ポイントとして本園さんが伝えたのは、「相手に<伝わる>にはどうしたらいいかな」ということを念頭に置きながら描くということ。

最初のお題は「さかな」そして、「鯵(あじ)」。
最初にしては後者はハードなお題とも思われますが、自分流に「どうしたら伝わるか」を考えることそのものが大事です。
描いた後に、グループに分かれて、描いたものを自分と他の方がどう違うか、それを楽しみながらシェアしました。

鯵のひらき、干物、フライ、なめろうなど、料理を通じて伝えようとすることは共通しても、それぞれ浮かぶ料理が違うというのもまた「違いを楽しむ」ことや、違う発想方法を知ることをできて、表現の可能性が広がっていきます。

そして講師から奥義も。魚の絵の周辺に「アジ」と書くだけで、それをアジと認識することもできるのです。

続いて人間の表情について。
私たちは相手の目、そして相手の目線の先を追う傾向があります。
顔を描くことで、まずパッと目に入ること、そして視線を誘導すること、さらに感情の表現をすることができると、かなり可能性が広がります。

ということで、初回は顔の描き方、表情のつけ方を重点的に実践していきました。

事前に配布していたワークシートを用いて顔の基本の書き方を学びます。理詰めに考えて絵を描くのが苦手という人も少なくないですが、だからこそ、ロジカルに顔のパーツの描き方についても丁寧に説明があり、「なるほど、そうか!」と納得して皆さん取り組んでいました。

顔のどのパーツを変化させるとどんな表情に見えるか、など実際に描いてしめしてくれるので、具体的なイメージもつけやすく、参考になったという声も多く聞かれました。

ポイントは「本質」。その部分だけ見れば何を伝えたいかがわかるということ。例えば笑顔であれば口元が上がっている、みたいなところで表情が伝わるということを学びました。
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続いて体の描き方。最低限のルールの伝授があり、さらに影の付け方についてもレクチャーがあったのち、またまたさっそく実践でいろいろなポーズを描くことにチャレンジです。

軸をずらす、角度を変えるだけでも動きが出るなど描くためのヒントもたくさん教えてもらいました。

参加者からも「この動きはどう描いたらいいか」という質問がたくさん出て、その都度即興でそれにこたえていくのもこの講座の醍醐味です。

こうして初回は顔の表情、体の動きなどについて基礎をしっかり練習して2回目につなぎました。
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2回目は、前回の復習で顔と体の動きについて1枚描いてみてから本題に入りました。

この日の最初のテーマは「本質を捉える」。
ここでは、「一目でわかるギリギリまで省略した最も単純な形」で表すにはどうするかということにチャレンジです。

「そのものらしさ」を何で表したらいいか、描くのももちろんですが、そもそも観察する力、捉える力も大事になってきます。

さっそくチャレンジ「えんぴつ、ペン、スマホ、ノートPC」「コンビニ、公園、会社仕事、テレワーク」についてそれぞれ描いてみて、シェアをしたもらいました。

これまで学んだ奥義も活用しながら、参加者の数だけ工夫があって、他の方の作品を見ることでも発想が広がっていきます。

皆さんの作品を紹介した後は講師の本園さんからこういう描き方もあるよというアイディアをその場で描いて披露してもらいました。
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続いてのテーマは「擬人化」。
人でないものを人のように描くことによって、感情や動きを乗せることができるというもの。

お題は「ホワイト企業とブラック企業」。
先に扱った「本質を捉える」のエッセンスも取り入れながら皆さんワークに取り組みます。

・勤務時間で表現する
・会社の顔で表現する
・周囲に明るいものを描くか暗いものを描くかで表現する
など様々なアイディアが出てきました

そして最後のテーマは「似顔絵」。

似顔絵が苦手、難しいという方がほとんどの中ですが、こちらでも似顔絵を描く究極奥義が披露されました。
メガネ、とかヘアアクセサリなどのワンポイントを描きつつ、名前をくわえるとグッとその人らしくなります!

似顔絵のベースは前回学んだ顔の表情と同じ。
そこに、耳、鼻、眉、髪形を加えていきます。
ポイントは耳は目の高さより下に描く、目元の描き方など、細かいポイントも説明しながら描き方のコツを伝えていきます。

ここでペアになってお互いの似顔絵を描いてみることにチャレンジ。

グラフィックレコーディングをするときに、プレゼンターの方の顔を描いておくとグッとグラレコ全体の見栄えが増すこともあり、またレコーディングの場でなくてもちょっとしたときに似顔絵を描いて渡したりできるとコミュニケーションが促進するとの説明で、講座の最後が締めくくられました。

絵が苦手という方も多かったけれども終始笑顔が絶えず、チャット欄での感想や質問も活発に出て、コミュニケーションも多く取られた本講座。
オンライン講座でもここまでできるんだという可能性も十分に感じさせてくれたひと時となりました。

グラフィックレコーディングは根強い人気でいろいろなところで役立てることができるので今後も続けていきたいと思います。

ご関心を持ってくださった方、ぜひ今後の講座開催にご期待ください!

地域連携ステーション フミコム(文京区民センター地下1階)