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活動報告・発行広報物

【開催報告】ファンドレイジング講座「新たなチャレンジを促進する助成金活用と団体運営のキホン」

地域連携ステーション フミコム
  • 文京区全域
  • その他
日 時:2020年12月19日(土)14:00~16:30
会 場:ZOOMオンライン
講 師:髙橋 麻子さん(ファンドレイジングコンサルタント)
参加者:9名(7団体)

活動を始めるにあたりお金がない…そうだ助成金を取ろう!そう思ったことのある人は少なくないはず。しかし、助成金はお金がないからとろう、という性質のものではありません。
この講座では、非営利組織の財源、その中での助成金の位置づけに始まり、申請書を示唆される際の視点や、実際に助成金を受けてから気を付けるべきこと、申請前にも準備としてできることなど、助成金獲得のテクニックというよりは、助成金を活用するという視点から同団体を運営していくかという視点を含めて講座の進行をしていきました。
まずは自己紹介から。自団体がどのような取り組みをしているか、助成金に限らず活動資金集めの上で葛藤していることなど一人ひとり発表してもらいました。
発表を聞いてみると、似たような課題感から活動をしていたり、今後連携できそうな取り組みもあったりしました。

さて、本題です。


活動費がないので助成金が欲しい…と思いがちなところをちょっと待って!

助成金の説明の前に、非営利活動を行う団体のこと、またその活動財源について簡単におさらいし、その中での助成金の役割について確認を行いました。

ファンドレイジングというとお金集めのように思われがちですが、ファンを集める、共感し応援してくれる人がそれぞれ持っている資源を持ち寄って社会課題解決につなげていくことと言えます。

と考えると広報活動とファンドレイジングは分けて考えられることもありますが、きちんと活動を発信することで共感を集めていくという点では不可分のものとも言えます。

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非営利活動の財源としては大きく分けて、会費、寄付、助成金・補助金、事業収入がありますが、規模や使途の自由度などがそれぞれことなるため、団体のフェーズや活動規模、内容に応じてどれか一つに偏るのでなくバランスよく財源を組み立てていく必要があります。

助成金の特徴としては、
・まとまった金額が得られる
・費用対効果が高い
・資金使途や成果に制約がある(申請段階での約束)
・期間限定(1~3年程度)
ということがあげられます。助成金を人件費として活用できるものもあり、それに伴って採用をした場合に、助成金がなくなった後の財源をどうするかなども検討が必要で、結果として組織・体制に影響してきます。

そもそも「助成金」という字のごとく、「団体の成長を助けるお金」。
助成側から見て、団体の活動がいいから応援しているというよりは、むしろ、もっと成長してもらいたいという願いを込めて資金提供をしているという側面があります。
「活動費がないから助成金が欲しい」というのでは現状維持のためのお金という側面が強くなってしまうので、これではなかなか助成金は通りにくいということにあります。

ではどのような助成金申請が通りやすいのか、ということを考えるには、助成側の立場に立って考えてみることが必要ということで、申請の際に募集要項の着眼点について解説がありました。
ついつい自団体の活動のアピールをしたい!と思ってしまいがちなところですが、助成側が助成金を出すことによって目指したい社会の姿、解決したい社会課題を過去の助成実績も含めしっかり読み込んでおくことが大切です。
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また、助成側と助成を受ける団体はいわばパートナー。
パートナーとしてふさわしいかどうか、特に金額が大きい場合は、助成金をしっかり活用できる組織基盤があるか、それまでの実績があるか、活動内容と目指す成果の間の整合性はとれているかなどもチェックされるところです。

成果と活動の整合性というところでは、近年よく聞かれる「ロジックモデル」を活用して整理をするのもおすすめであるとのお話がありました。
活動によってどんな変容がもたらされるのか、それによってどんな成果が出るのか。ついつい活動計画の方から書いてみたくなってしまいますが、目指したい成果から考えて逆算していく習慣をつけることが大切です。

さらに、最近の助成金では、助成期間終了後の計画を聞かれることも増えてきました。
「金の切れ目が事業の切れ目」とならないように、終了後もどう事業を持続発展させていくのか、そのために助成期間中に何をしていくのか、そんな視点も求められてきます。

また、助成金の申請金額を考える際の配分のポイントについても話がありました。
助成金によってもこの費目には使えないといったルールもあるのでその点でもしっかり募集要項を読み込んでおくことが大切です。

参加者からは、
・自分たちの団体が成長を続けているということをホームページで発信できたり、申請書にかけるということはアピールになるか
・ロジックモデルの「成果」が助成側の解決したい社会課題や長期的な目指す姿にマッチしていると助成金は通りやすいのか
・中長期計画の立て方と単年度計画との関係性
といった質問が出され、講師からは具体的な例を挙げて丁寧な解説がありました。

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休憩をはさんで後半は、助成金を申請したものの、よくある失敗ケースについて説明がありました。

・助成元と団体のビジョン不一致
 →お金が欲しいがために無理に助成元のビジョンに合わせて申請をすると、
  活動や予算獲得が目的となり、団体のそもそもの活動目的にゆらぎが生じてしまう

こういうことを生み出さないためには、そもそもの団体の運営体制として、団体のビジョンを確認し、中長期の計画をもち、その中でこの助成金申請をした方がいいか、助成金により団体が成長できるかを関係者でよく話し合って決めることが大切です。

日常から団体の活動や大事にしていることを発信する習慣をつけておくことも重要なポイントです。普段から情報発信の習慣をつけておくことで、助成期間中もルーティンとして活動を発信し、その発信を集約したもので報告書などを作成することができるというメリットもあります。
なにより活動の透明性を高め、活動を発信することで共感を集めて応援者を増やしていくことにもつながります。

またそれらの発信も活用しながら、助成金の申請を考える際には助成元とのコミュニケーションをとっておくこと。助成金の中には、地域の中間支援施設等の推薦文を求めるものもあったりするので、助成元だけでなく中間支援施設等とも日常的にコミュニケーションをとれておくと、有益な情報を提供してもらえたり、アドバイスがもらえることにもつながります。

助成金をもらって活動している途中での注意事項についても説明がありました。
共通して言えることは、安定した団体運営を行っていることが安定した助成事業にもつながるということ。当たり前といえば当たり前ですが、会計処理も、活動報告も、実践の振り返りも、後手後手ではなく適切なタイミングで行い、変更の必要があるときはすぐに報告・連絡・相談を行うというのは言うまでもないことです。当たり前のことをきっちりやることが団体の信頼性の担保につながり、また次の助成金獲得にもつながっていきます。
助成金情報をどこで探すかについても情報提供がありました。
募集が多いのは4~6月、10~11月頃ですので、団体内で年次計画、中期計画を立てる際に参考にしてみてはいかがでしょうか?

・東京ボランティア・市民活動センターの ボラ市民ウェブの「助成金情報」
 https://www.tvac.or.jp/sagasu/?cat=joseikin

・日本財団が提供する公益事業コミュニティサイトCANPANの「助成情報」
 https://fields.canpan.info/grant/

また助成金の金額も30~50万くらいのものは活動の立ち上げや短期成果のためのものが多い一方、100~500万くらいの規模になってくると成果の発展・成長により重点が置かれてきます。

最後に、全体を通しての質問や感想を受け付けました。

・最近は他団体との連携みたいなことを押し出した助成金も増えているが、どの程度の連携を事前にしておく必要があるか?
・連携先をどう見つけておくとよいのか?

など他団体との連携に関する質問がありましたが、特に決め手となるような「正解」があるわけではありませんが、日常的にコミュニケーションをとる、資金が介在しなくても情報共有、意見交換をするなどができればよいでしょうし、もし協働で事業にあたる際には、それこそ「ロジックモデル」を一緒に策定し、課題感と目指す姿を共有し、そのうえでお互いの得意や強みを生かした役割分担ができるとのちの事業実施の際にもスムーズな連携ができるのではないかと思います。
そしてまさにそういったマッチングやコーディネートのご相談にはフミコムをご活用いただければ幸いです。

フミコムでは今後もファンドレイジングをはじめとした団体の運営、活動を推進するような講座・専門相談等を実施していきますし、随時ご相談も受け付けています。いつでもお気軽にお問い合わせください!

フミコムC-base(文京区民センター地下1階)