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活動報告・発行広報物

【開催報告】第43回フミコムcafe「不器用だっていいじゃない-見えてきた8050問題 中高年層のひきこもりを考える-」

地域連携ステーション フミコム
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  • 国際・人権・男女共同
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日時:2019年10月16日(水)19:00~20:30
会場:フミコム C-base
ゲスト:阿部 達明さん(ライフプランニング・リレーションズ代表/キャリアコンサルタント/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
参加者:約40名

「8050」という言葉を聞いたことはありますか?
80代の親とひきこもり状態にある50代の子どもを指すこの言葉は、6月に起きた悲しい事件でクローズアップされ、センセーショナルに取り上げられました。
この問題に真正面から向き合い、本人や家族に寄り添いながら相談支援を続けているライフプランニング・リレーションズ代表の阿部達明さんをゲストに迎えた今回のフミコムcafe。関心の高さを示すかのように40名近い方にお集まりいただきました。
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阿部さんの話はまず自己紹介からスタートしました。幼少時代の話から始まり、銀行勤務を経て現在の仕事に携わるようになった理由に至るまで、独特の語り口で参加者との対話も織り交ぜつつ話を進めていく阿部さん。時に笑い声も聞かれる中、話は徐々に本題に向かっていきました。
時間と共に阿部さんの言葉は熱を帯び、それに連動するかのように会場内の熱量も上がりました。阿部さんからは様々なキーワードが飛び出します。「誰もがひきこもりになる可能性がある」、「答えは自分の中にある」、「家族も支援員も器以上のことはできない」など、阿部さんならではの言葉に大きく頷く参加者の皆さん。ひきこもり状態にある方の現状を分析した上で、自立のために自らをオープンにして寄り添い続ける阿部さん。普段から聴くこと、受け入れること、待つことを大切にしているそうです。しかし、自立を促すためとはいえ、伴走し、あるがままを受け止め続けていくことは決して簡単なことではありません。それでもこの仕事を天職と考えている阿部さんは日々、当事者と向き合い、さまざまなアプローチで交流を図っています。
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阿部さんが大切にしている基本スタンスは「オープンハート」、「オープンインフォメーション」、「フラットな横の人間関係」の3つです。ひきこもりの方の現状を分析して導き出したこのスタンスは、専門家のみならず一般の方でもすぐに実践できるものばかりです。阿部さんはひきこもりの方が「何もせずに楽をしている人たち」と色眼鏡で見られがちな現状を憂いていました。一人一人がこうしたスタンスを実践することで、ひきこもり状態にある方を取り巻く環境が少しずつ変わっていくことを阿部さんは切に願っています。
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心から溢れ出てくる言葉を紡いでいく阿部さんの話に感情を揺さぶられ、涙を流す方もいらっしゃいました。参加者のみなさまもそれぞれにこの問題と向き合う、密度の濃い有意義な時間となりました。気が付けば予定の時刻を過ぎていたものの、大勢の方がそのまま残り、阿部さんに質問をしたり、参加者同士で考えや情報を共有したりして交流していました。それはまるで、阿部さんが大切にする基本スタンスを体現するかのようでした。

参加者の皆さまからはイベント終了後、さまざまな意見が寄せられました。アンケートに記載された一部をご紹介します。
・本人はよく考えている、話を引き出し、理解することが必要
・人を信じていない支援員が人を信じることを伝えることはできない
・答えは必ず本人の中にある、だから本人に聴く
・相手を自分のルールに当てはめようとしていたことに改めて気づいた
・アセスメントは大切と言われるけど、アセスメントを履き違えてはいけないと思った
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また、当日の内容をグラフィックレコーディングでまとめてくださった参加者の方もいました。館内で掲示中なので、ご覧いただければと思います。

フミコムでは今後も地域の課題を知るはじめの一歩、新たなつながりを創るきっかけの場としてフミコムcafeを開催していきます。これまでご参加いただいたことがある方はもちろん、そうではない方のご参加もお待ちしております。

フミコム(文京区民センター地下1階)